神経が持つ記憶

過去に10年ほど水泳に真剣に取り組んでいた時期があり、そこからかなりブランクがあって最近再び健康のために泳ぎ始めている。

再開した当初は動きがぎこちなかったけれど、回数を重ねるうちに泳ぎの感覚が蘇ってきた。

昔やっていたのだから当たり前のようには思えるが、不思議だ。

 

脳を含めた中枢神経系が動きを記憶しているということなのだろうと思う。

具体的に言うと、神経間における電気刺激の伝導のしやすさなのではないだろうか。

水泳というジャンルの様々な動きを数年間継続的に行ったことによって、身体の中枢から末端までの神経系にそれに特化した回路がつくられ、再び同様の動きをしようと思ったときに再現度が高くなっている。

ただし、筋肉などの他の組織は当時と比べると変化しているため全く同じ動きができるわけではない。

 

なぜ人間にはこのように動きを記憶しておくプログラムがあるのだろうか。

おそらく狩猟採集時代において、一度成功体験をした動きを長期的に記憶しておく方が生き延びる上で有利に働いたからではないだろうかと考える。

重要なのは、完璧に記憶しておくわけではなく、全体の大枠を記憶しておいて後で自由に組み替えることができる余地を残しているところ。

ここに他の動物と比べた人間のすごさがあると思う。

今持っているリソースに応じて、また新たな回路、能力の組み合わせをつくることができる。

 

人間の神経系にはどこまで可能性があるのか、非常に興味がある。