ONE PIECE FILM REDを観て考えたこと。
この映画のキーとなるキャラクター、「ウタ」がもう映画という枠組みを超えて、ひとつの作品として、アーティストとして飛び出している。
アニメーションや歌い手、振り付けのレベルも非常に高く、力の入れ具合が半端じゃない。
YouTubeでウタの動画も公開されており、そこから映画に繋がるストーリーが作られている。
ここまで完成されているとファンが付くはず。
最近は、実際の作品公開前に動画でストーリーをつくっていき、ファンを引き寄せるという手法がよく見られる。
視聴者もそこに価値を感じており、どんどんハマっていくように設計されている。
今までの映画だとやはり主人公のルフィを中心にした描き方をしていたが、今回はまったく新しいかたちをとっている。
映画の中でも歌が随所に挿入されており、非常に重要な役割を果たしている。
そして今までの映画と違うのは、キャラクターがそれを歌っているということ。
それも観ているとまったく違和感が感じられず、アニメーション技術の高さも感じられる。
映画の中でウタが披露する歌は複数あり、それぞれすでにミュージックビデオが公開されているが、映画の中で聞くそれらはまた違ったかたちで聞こえる。
きっと微妙に調整もされているだろうけど、実際のワンピースのアニメーションと組み合わされると心の動きが違ってくる。感動した。
ミュージックビデオのアニメーションもすばらしく、ここでもファンが生まれそう。
この映画が観る人に提供している価値は、アニメーションを通して表現されるライブ感だと思う。
アニメーションとライブの組み合わせは個人的に本当に好き。
ここの領域の需要はけっこうあるのではないかと感じている。
今回の映画中でも、一瞬Mr.Childrenの30周年記念ライブで感じた感覚と重なる部分があった。
あの心が震える感覚。
それを映画で感じられるとは思っていなかった。
この作品に関わる方々のクリエーターとしてのレベルの高さを感じた。
これまでのワンピース映画では戦闘を中心に描かれていたけど、今回はそこにライブが加わって新たな価値を生み出している。
まさに新時代の作品だと思う。
アニメーションについては、戦闘シーンに見られる奥行きのある3D感は前作のSTRONG WORLDから更に磨きがかかっている気がする。
スピード感がある中で、細部まで細かく表現されていて圧倒される。
特に印象的だったのは色で世界観の違いをうまく表現しているところ。
有彩色と無彩色で区別がされており、シーンの切り替えが非常にわかりやすかった。
思わず泣いてしまう場面もあり、心が震える作品だった。
映画館にわざわざ行って観る価値のある作品だと思う。